手書きのメモとパソコンのメモ、どっちが良いの?

取材や会議、はたまた講義などのメモ取りが必要な場で手書きのメモだけではなくパソコンやタブレットでメモを取る人が増えている今日この頃。

 

最近ではカフェなどでも参考書を片手にパソコンやタブレットを一心不乱にキーボードを打ち込む人って沢山いますよね。

 

余計なお世話かもしれないし、勉強とは違う何か別なことが目的なのかもしれないけれど、僕自身今後のメモ取りや学習を行う際の参考にしたく思い調べてみました。


◆人間には2種類の認知がある


「手書き」と「(キーボードによる)打ち込み」について書くにはまず人間の認知について知らなければいけないようです。

その認知とは「体験的認知」と「内省的認知」のことです。

 

ご存知の方も多いかもしれませんが

 

・体験的認知

→何かあったら後先考えずに反応する動物の一般的行動原理

 

・内省的認知

→想定したゴールに向けて行動するロジカルな知覚

 

のことです。

調べてみると「手書き」と「(キーボードによる)打ち込み」は実は違う認知で行われているとのことでした。


◆世の中面白い発表が沢山されています


裏付けとなる根拠…といった仰々しいものではないのですが、調べている中で見付けたものをかなり掻い摘んでご紹介します。

 

<1>事実関係(Factual)と概念理解(Conceptual)を(アメリカの)大学生に問うテスト

(アメリカ、プリンストン大学のパム・ミューラー氏らが2014年に発表した)

(テスト内容は省略します)

結果は事実関係(Factual)においては差はなかったのですが、概念理解(Conceptual)においてはノートの方がスコアが高かったとのこと。このテストの更に面白いところは、この事実を伝えて「記録するだけではなく、理解してキーボードを打つように」と伝えても結果が変わらなかったところです。

 

 

<2>タブレット学習と手書きノート学習をさせたあとの数学のテストにてスコアが高いのはどっちの学習?

(オレゴン健康科学大学のオビート教授が行ったテスト)

1歳の娘がいる僕にとっては興味深い話。

ただ、ここまでの流れで既にお気付きの方も多いかと思いますが結果は「手書きノート」の方がスコアが高かったとのことです。


◆手書きにおける認知とパソコンにおける認知


前述した通り、人間には2種類の認知があり「手書き」と「(キーボードなどによる)打ち込み」では認知が違うとのことでした。

 

「手書きのメモ→内省的認知」

 

「パソコンなどでのメモ→体験的認知」

 

上記のように振り分けられるようです。

 

メモを取るのは内省的認知の方が向いていますが、集中力が必要です。パソコンでのメモは操作感などの刺激が与えられるため、体験的認知が入り込んでくるので「ただ入力する」という作業になってしまうと考えられています。

 

たしかにパソコンの方が多くの文字を打ち込むことが出来るのでつい使ってしまいがちですが、ご紹介したパム・ミューラー氏らの発表やオビート教授の発表、2種類の認知についてを合わせて考えてみると「パソコンを使うとメモは沢山取れるけど、情報処理が浅くなり、学習効率が低下する可能性がある」ということを示しているように感じます。


◆手書きでもメリットが得られないのはどんな人?


前述してき手書きのメリットだけど、残念なことにその恩恵を受けれらない人がいるように思えてならない。

 

それが「ただ書き写す人」

 

よく「ノート作りに夢中になる人は中身(結果)が伴わない」なんてことが巷では囁かれているけれどその原因はここにありそうですね。

 

学生時代、板書を喰らい付くような勢いでペンを走らせノートを見るとびっしりと書かれているのに何故かいつもテストの点数は微妙な人いたと思います。

 

前述しましたが、手書きのノート(メモ)の一番の利点は「内省的認知(想定したゴールに向けて行動するロジカルな知覚)」であって、ひたすら書き写す人はパソコンなどに打ち込むのと変わらない「体験的認知(何かあったら後先考えずに反応する動物の一般的行動原理)」になってしまっているのではないでしょうか。

 

パソコンでキーボードを打ち込むことに意識がいってしまい、肝心の中身が入ってこないのと同じで板書を写すことに夢中(必死)になってしまうことでやはり肝心の中身が入ってこないのかもしれないですよね。


◆まとめ


会議や講義などで一言一句逃さないかのごとくキーボードを叩くならボイスレコーダーなどで代用すれば事足ります。

それよりもその場でしか出来ないことは何なのか。

メモは話を要約しながらまとめていき、まとめる上で出てきた疑問点などを質問して回答を得る方が有意義なように思えます。

 

板書のまる写しも同じです。

書かれていることって大体参考書に書いてあることばかりです。

 

ここまで手書きメモ優勢で書いてきましたが勿論パソコンでのメモにもメリットはあります。

(打ち込んだメモを別のデバイスに簡単に移植できるなど)

 

結局のところ何のためにメモを取っているのか。

 

ただ記録として残しておきたいのか。それともアウトプットに繋げるためのメモなのか。

メモはしっかり取っているのに成果が上がらない人は参考にしてみて下さい。

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